食べない(食べられない)から、人は亡くなるのか?
摂食・嚥下リハビリテ―ションに携わっていると自分が介入しても経口摂取に至らず、日を追うごとに患者さんは弱っていって、やがてお亡くなりになるという状況が少なからずあります。
また、経口摂取に至っても誤嚥を防げず、絶食となり、そのままお亡くなりになるということもあります。
回復期のリハビリテ―ション病院に勤めていた頃は、そうやって食べられなくなって亡くなっていく過程を最期までみることはありませんでした。
しかし、今の職場では、そういった状況は避けては通れません。
そして、その度に無力感を感じていました。
そんなある日、ある本の言葉にハッとさせられました。
それは、
『人はいつか必ず死ぬのであって、人が死に向かっていく過程で、だんだん食べなくなる、食べられなくなっていくのは本来、自然な過程なんだ』と…
正確ではないですが、そのようなことが書いてありました。
『人は食べられないから死ぬのではなく、死んでいくから食べられなくなる』という考えは、今まで私の頭には何故かなかったのです。
だから、衝撃を受けました。
そして、少しだけ気持ちが楽になりました。
ただ、『だから、しょうがない』ではなく、『ある意味では諦める。でも、自分にできることは諦めない』というのが今の心境です。
STとして少しでも力をつけて、できること、やってあげられること、助かることを増やしていき、それを粛々と行うことが大切なのかなと思っています。