摂食嚥下リハビリテーションにおけるリスク管理
今回は、摂食嚥下リハビリテーションにおけるリスク管理をテーマです。
大きく5項目に分けて書いていきます。
1.現状復帰
これは摂食嚥下リハビリテーションだけでなく、すべてのリハビリテーション介入において大事なことですね。
まず、患者さんに介入する前の状態をよく観察することから始まります。
そして、介入終了時には、はじめの状態(介入前の状態)に環境をすべて戻すということが、大事なリスク管理に繋がります。
そのなかで、特に気をつけるべき点は、下記の3点だと思います。
①ベッド柵・・・2点柵か、3点柵か、それとも4点柵が必要なのか、など
②抑制・・・ミトンやベルトが必要か、必要ならば適切に装着できているか、センサーの付け忘れはないか、など
③体位・・・今の時間帯は左右どちらの側臥位か、それとも仰臥位か、クッション等が必要ならば適切に配置されているか、ギャッジアップは必要か、など
2.ルート管理
点滴、バルーン、マーゲンチューブ、カヌラなどの呼吸チューブ、これらの抜けや絡まり、引っ掛かりなどないか。特にギャッジアップ時や移乗時に注意が必要です。
3.バイタルチェック
介入前・中・後と適宜、バイタルチェックを行うと思いますが、バイタルサインの正常値や危険な異常値を覚えておく(基準表を持っておく)ことが大切です。
また、透析をしている患者さんには、シャント手の確認を必ずして下さい。シャント手での血圧測定は禁忌です。
※離床や経口摂取の開始基準や中止基準は別記事『離床のリスク管理〜開始基準と中止基準〜』や『経口摂取(初期スクリーニングテストや直接訓練)の開始基準』をご参照ください。
4.カルテ・処置のチェック
リスク回避のために見るべきポイントを以下に挙げていきます。
安静度のチェック
バイタルサインの日計表
熱発の有無、特に呼吸器症状を伴う熱発に注意
痰の量や性状
咳など呼吸器症状の有無
酸素吸入の有無(特に5リットル以上)
嘔吐の有無
下血(消化管出血)の有無
イレウスの有無
検査(ERCP)や手術の有無、特に絶飲食の必要性に注意
PEG(胃瘻造設術)の前後期間
血糖値の数値や血糖値測定の時間帯
輸血の有無
昇圧剤使用の有無
など
新人のうちは上記を把握するのはなかなか難しいかもしれませんが、経験を積めば自然とできるようになります。
5.看護師との連携
最後に、最も大切なことは、受け持ちのNsや看護師長に声かけして確認や報告を行うことです。
このことは、リスク管理や情報共有にも繋がり、このようなコミュニケーションの積み重ねが信頼関係を築く上でも大変有効だと感じます。