離床のリスク管理~開始基準と中止基準~
今回は、離床のリスク管理として、日本臨床研究会による開始基準と中止基準を示していきます。
開始基準は、離床を行わない方がよい場合を示します。
中止基準は、離床を中断し、再評価したほうが良い場合を示します。
【離床の開始基準】
・強い倦怠感を伴う38.0℃以上の発熱
・安静時の心拍数が50回/分以下または120回/分以上
・安静時の収縮期血圧が80mmHg以下(心原性ショックの状態)
・安静時の収縮期血圧が200mmHg以上または拡張期血圧120mmHg以上
・安静時より危険な不整脈が出現している(Lown分類4B以上の心室性期外収縮、ショートラン、RonT、モービッツⅡ型ブロック、完全房室ブロック)
・安静時より異常呼吸がみられる(異常呼吸パターンを伴う10回/分以下の徐呼吸、CO2ナルコーシスを伴う40回/分以上の頻呼吸)
・P/F比(PaO2/FiO2)が200以下の重症呼吸不全
・安静時の疼痛がVAS7以上
・麻痺等神経症状の進行がみられる
・意識障害の進行がみられる
【離床の中止基準】
・脈拍が140回/分を超えたとき(瞬間的に超えた場合は除く)
・収縮期血圧に30±10mmHg以上の変動がみられたとき
・危険な不整脈が出現したとき(Lown分類4B以上の心室性期外収縮、ショートラン、RonT、モービッツⅡ型ブロック、完全房室ブロック)
・SPO2が90%以下となったとき(瞬間的に低下した場合は除く)
・息切れ・倦怠感が修正ボルグスケールで7(かなりきつい)以上になったとき
・体動で疼痛がVAS7以上に増強したとき
※VAS(visual analog scale)は、10cmの線を見せて「線の左端が痛みがない状態、右端が耐えがたい最悪の痛みです。現在の痛みがどこにあるか、線上に印をつけてください」と説明する疼痛のアセスメントツールです。
以上、上記の基準を参考に患者さんの状態を十分に考慮し、主治医の指示のもと、離床の可否をご判断ください。