学会分類に基づくとろみのつけ方
嚥下機能が低下している方にとって、水分は最も誤嚥しやすいものの一つです。
そこで、誤嚥しないための対処法の一つとして水分にとろみをつける訳ですが、とろみ付けの濃度には大きく3つの分類があります。
今回は、お茶など水分のとろみ濃度について、日本摂食嚥下リハビリテーション学会分類2021(とろみ)に基づき、3つの基準をご説明していきます。
学会分類というと何かとっつきにくいイメージがありますが、意外とざっくりとした分類になっています。
その分類というのは、
【段階1 薄いとろみ】
【段階2 中間のとろみ】
【段階3 濃いとろみ】
の3つとなります。
では、この3つの分類を理解するためにその特徴の要点を1つずつ挙げていきます。
【段階1 薄いとろみ】
- 「drink(飲む)」するという表現が適切なとろみの程度
- 液体の種類・味や温度によっては、とろみが付いていることがあまり気にならない場合もある
- ストローで容易に吸うことができる
- スプーンを傾けるとすっと流れ落ちる
- フォークの歯の間から素早く流れ落ちる
- カップを傾け、流れ出た後にうっすらと跡が残る
【段階2 中間のとろみ】
- 明らかにとろみがあることを感じつつ「drink」するという表現が適切なとろみの程度
- 口腔内ですぐには広がらず、舌の上でまとめやすい
- ストローで吸うには抵抗がある
- スプーンを傾けるととろとろと流れる
- フォークの歯の間からゆっくりと流れ落ちる
- カップを傾け、流れ出た後に全体にコーティングしたように付着する
【段階3 濃いとろみ】
- スプーンで「eat(食べる)」するという表現が適切なとろみの程度
- ストローで吸うことは困難
- スプーンを傾けても形状がある程度保たれ、流れにくい
- フォークの歯の間から流れ出ない
- カップを傾けるとゆっくりと塊となって落ちる
以上、それぞれの性状の特徴を列挙していきました。
一通り読んで戴けるとイメージできたのではないかと思います。
個人的には、ストローで飲んだ時やスプーンですくって傾けた時の性状を頭に入れておけば、とろみの状態を簡単に分類できるのかなと思います。
下記にまとめておきますので、お茶など水分のとろみ付けが必要な場面での一助となれば幸いです。
【段階1 薄いとろみ】
ストローで容易に飲めてスプーンを傾けるとさらっと流れ落ちる。
【段階2 中間のとろみ】
ストローで飲むには抵抗があり、スプーンを傾けるととろっと流れ落ちる。
【段階3 濃いとろみ】
ストローでは吸えず、スプーンを傾けるとぼてっと塊で落ちる。