安全性の高い(誤嚥しにくい)食形態の決め方

今回は、嚥下障害のある方に提供する安全性の高い(誤嚥しにくい)食形態の決め方を書いていきます。

 

その手順は以下のようになります。

 

①摂食開始条件の確認

まず、別記事『経口摂取(初期スクリーニングテストや直接訓練)の開始基準』で示した摂食開始条件を満たしているか確認します。

 

 

②反復唾液飲みテスト(RSST)や自然な唾液嚥下の確認

次に、RSSTを行います。

RSSTが実施困難なら、自然な唾液嚥下を確認します。

 

 

③トロミ付きでの改訂水飲みテスト→トロミ付きでの水飲みテスト (トロミ茶を使用)

そして、改訂水飲みテストをトロミ茶で行います。

まずは、3mlずつ3回、続いて30mlを3回行います。

この③の過程をクリアできたら、トロミ付きの飲水可と判断します。

 

 

④高カロリーゼリー(商品名:HC)でのフードテスト

この④の過程をクリアできたら、高カロリーゼリーや嚥下食の摂食可と判断します。

 

提供量の決定は、別記事『適切な食事提供量の決め方~タイムテストの提案~』を参照してください。

 

 

⑤改訂水飲みテスト(MWST)

次にMWSTを実施し、クリア(4点以上)できれば、後ほど⑦の過程に進みます。

 

 

⑥刻みトロミ食でのフードテスト

刻みトロミ食以上でフードテストを行います。

このフードテストをクリア(4点以上)かつ、MWSTをクリア(4点以上)していたら、その食形態は摂食可と判断します。

例えば、刻みトロミ食でフードテストはクリアしていてもMWSTがクリアできていなければ(3点以下)、いきなり食事として、刻みトロミ食の提供は控えます。

 

まずは、一段階下の嚥下食を提供し、並行して全粥・刻みトロミ食での摂食訓練を行い、経過評価していきます。

経過評価により誤嚥所見などの問題点がなければ、食事として提供可と判断します。

 

 

⑦水飲みテスト

この過程をクリアしていれば、嚥下機能は概ね良好と考えられます。

咀嚼や食塊形成の可否によって、米飯・常菜(常食)にするのか、全粥or軟飯・軟菜一口大にするのか、決定します。

 

水飲みテストをクリアしていても水分の機会誤嚥(=時折、誤嚥する)や汁物で誤嚥を起こすこともありますので、そこは注意が必要です。

なぜ食事に付いてくる汁物に注意が必要かというと、汁物は水分と固形物の混合になるため、水分だけの嚥下より難易度が上がり、誤嚥を引き起こしやすくなるからです。

 

 

⑧咳テスト

ここまで過程で、食形態の決定はできますが、もし不顕性誤嚥(=ムセのない誤嚥)の場合は、その食形態が安全とは言えません。

 

最後に咳テストを実施し、咳(ムセ)が確認できれば、100%ではないですが、かなりの安全な食形態の決定できたのではないかと思います。

 

咳テストで咳(ムセ)がない、もしくは遅延しているとなれば、不顕性誤嚥を念頭におきながら、経過評価していく必要があります。

 

 

咳テストの詳細については、別記事『不顕性誤嚥のスクリーニングテスト~咳テストの提案』をご参照ください。

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