摂食・嚥下リハビリテ―ションにおける評価の流れ
摂食嚥下リハのオーダーを受けると主治医に確認して、当日に評価が必要なら当日に出しますが、時間が許せば、翌日の午前中に評価を出すようにしています。
全身状態や覚醒が不安定な患者さんでは、日差や日間差が顕著であったり、不顕性誤嚥の判断は当日には難しいことが多いので(翌日でも評価は難しいですが…)、なるべく最低1.5日間は初回評価の時間が欲しいと思っています。
不顕性誤嚥の検出の為に初回評価で『咳テスト』も導入していますが、ここで咳がない場合、誤嚥した時に不顕性となる(=むせない)リスクが高いと考えられますので、より注意が必要となります。
初日は、現病歴、既往歴、血液データ、Dr記録、看護記録などの情報収集後、当院で使用しているオリジナルの摂食嚥下評価表に従って評価を進め、最後にメジャーなスクリーニングテスト(RSST、MWST、FT、水飲みテスト)を行います。
*咳テストや摂食嚥下評価表の評価項目については、また別記事にて詳しくお伝えします。
そして、姿勢、一口量、介助量も評価して、最終的に現状で最適と思われる食事提供の内容を評価表に記入して提出しています。
ここで、別記事『摂食・嚥下評価では何を伝えるか』にも書いたように飲水や服薬の可否、短期目標に関しても報告します。
あとは、間接訓練や直接訓練、食事の観察・介入など行い、1週間毎に先程の評価表の裏面に経過を記入して報告するという流れをとっています。
もちろん、1週間を待たずに主治医に報告や提案、相談をすることもあります。
姿勢の評価ですが、初回は患者さんのADLや仰臥位でのベッドアップの可否(頚部の支持性の確認)で…
自己摂取不可で寝たきり→ギャッジ30度+頚部前屈位(枕・クッションなど使用)
自己摂取不可で端座位可(中等度以上の介助量)→ギャッジ45度+頚部前屈位(枕・クッションなど使用)
一部自己摂取可か端座位可(軽度以下の介助量)→ギャッジ60度
自己摂取可か立位可→ギャッジ60度以上(枕無し)
歩行可→座位
と大まかに決めて評価し、2回目以降はなるべくギャッジ60度以上で可能かを探っていきます。
一口量も初回はフードテストのやり方に則りティースプーン1杯(約4g)で評価しますが、2回目以降は普段の食事に合わせて、まずは中さじ1杯で、誤嚥所見を認めれば、中さじの半分量でみていきます。
介助量は自力摂取の可否を主に確認し、後は別記事『適切な食事提供量の決め方~タイムテストの提案』に書いたタイムテストの結果に照らして、食事の提供量を決定していきます。
例えば、プリン1個を3分以内に誤嚥所見なく食べられたから食事は全量で3食開始しようとか。
もちろん、その時々の臨機応変な判断や調整が必要なこともありますが、このような流れで概ねうまくいっているように感じています。