そのシャキア訓練(嚥下おでこ体操など含む)、ちょっと待って!
シャキア訓練は、間接訓練のなかでevidenceのある数少ない訓練の一つです。
シャキアの変法も色々考え出されていて、『嚥下おでこ体操』というのもそのうちの一つで、個人的に非常に使い勝手が良いなと感じています。
私は当初、シャキア訓練は、主にワレンベルグ症候群など球麻痺における食道入口部の開大不全、いわゆる通過障害に対して有効というイメージをもっていました。
しかし、通過障害だけでなく喉頭下垂している方や喉頭挙上不全によって咽頭クリアランス能が低下している患者さんにも有効ということが経験を積むうちにわかってきました。
実際、初回のVE検査では喉頭が下垂してほとんど梨状陥凹(梨状窩)のなかった患者さんが『嚥下おでこ体操』を取り入れた後のVE検査では喉頭位置が上昇し梨状陥凹の容量が増えていたということがありました。
そんな間接訓練としてはかなり優秀なシャキア訓練(嚥下おでこ体操などの変法も含め)ですが、その導入にあたっては注意しなくてはいけない点があります。
それは、咽頭クリアランス能低下が実際あるのかないのか、あったとしたらその原因が本当に喉頭下垂や喉頭挙上不全によるものかを事前にしっかり把握していなければならないということです。
舌骨並びに喉頭(甲状軟骨)の位置、互いの位置関係(距離)、嚥下時の喉頭挙上範囲を触診してあらかじめ評価しておくことが大切です。(VF検査をするならば画像でも確認出来ます。)
※触診での評価法を詳しく知りたい方は、別記事『喉頭下垂と喉頭挙上不全の触診による評価』にまとめていますので、ご参照ください。
喉頭下垂や喉頭挙上不全によるものでなく、その他の原因で咽頭クリアランス能が低下している患者さんに嚥下おでこ体操を一生懸命させても見当違いのアプローチで、患者さんに無駄な努力を強いてるだけになりかねません。
また、低栄養状態の人に筋力トレーニングは禁忌とされているので、シャキア訓練はその点にも注意が必要です。