誤嚥させない食事介助のポイント

食事介助のポイントはいくつもありますが、今回は、誤嚥させないために特に大事だと思う3つのポイントをお伝えしていきます。

 

ここで挙げる3つのポイントはあくまで、摂食嚥下障害のある方を対象としていますので、あらかじめご了承ください。

 

 

 

【その1  姿勢】

 

姿勢においては、誤嚥防止3点セットというのがあります。

 

その内容は、

①頚部前屈位

②体幹の安定

③足底接地

の3点なんですが、これをできる限り実現させることがまず大事なポイントとなります。

 

特に①と②は重要です!

 

①頚部前屈位に関しては、別記事『頚部前屈位と頭部前屈位の大きな違い』に詳しく説明していますので、そちらの記事もぜひご参照ください。

 

 

②の体幹の安定では、特に寝たきりの方ですと骨盤が左右どちらかに向いている(回旋している)状態でギャッジアップされていることが多いので注意が必要です。

骨盤の向きはパッと見ではわからないので、骨盤の左右端を両手で触って確認してみてください。

 

 

③の足底接地は、下肢の筋緊張が高い方や拘縮のある方では困難なこともありますが、ベッド上であってもクッションなどを足底にかまして安定させるのが良いかと思います。

 

 

 

【その2  準備体操(挺舌、随意嚥下、発声)】

 

準備体操と言っても大層なことをする訳ではなく、舌をベッと口の外に1回出してもらう(挺舌)、唾を一度ゴックンしてもらう(随意嚥下・空嚥下)、「エー」と声を出してもらう(発声)の3つだけです。

 

 

挺舌や随意嚥下が出来ない場合は、口腔ケア的に口腔内・舌を刺激して舌運動や唾液嚥下を一度起こして(確認して)から一口目を開始すると良いと思います。

 

発声はできなければ、なしで構いません。

 

この一手間で、一口目の誤嚥をかなり防げると思います。

 

 

 

【その3  介助のペーシング】

 

これが今回1番のポイントです!

それは、一口量を口に入れたら、ちゃんとゴックン(喉頭挙上)を確認してから、次の一口量を入れるということです。

 

 

一般的には、口腔内の食物がなくなっていれば、飲み込んだと思われがちですが、嚥下障害がある方は口腔内にはなくなっていても咽頭で食物が留まっていることはよくあることだからです(いわゆる、嚥下反射の惹起遅延)。

 

口腔内に食物がなくなっている状態(咽頭に食物を送り込み済み)なのに嚥下反射が起こらなければ、空スプーンで舌を押して刺激したり、声掛けなどをして嚥下を促します。

 

 

それでもダメなら、一口量の1/2なり1/3なりの量を追加刺激として口に入れる場合もありますが、極力、一口量に対して一回の嚥下という介助ペースを基本とした方が良いかと思います。

 

これを『一口一嚥下』と呼んでおり、嚥下障害のある方に対する食事介助のペースにおいて基本となります。

 

 

誤嚥を軽減するポイントは介助方法のみではありませんが、こと食事介助に限定すると、上記3つのポイントを押さえることが誤嚥を軽減する大きな差になると思われます。

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