機会誤嚥の肺炎リスクとその予防法
誤嚥で怖いのは、そこから生じる肺炎が一番怖いというのは、『摂食嚥下障害の4大リスク』という記事にも書きました。
その為、摂食・嚥下リハビリテ―ションでは、基本、誤嚥を防ぐことに注力すると。
しかし、どれだけ思いつく限りの手を打っても、どうしてもたまに誤嚥してしまうことはあります。
それが、いわゆる『機会誤嚥』です。
でも、本人は食べるのが大好きで、食欲もある。
この場合になるべく口から食べることを続ける為に出来ることは何でしょう?
誤嚥から肺炎になるならないは結局、
侵襲(誤嚥物の量・性質)>抵抗(呼吸・喀出力、免疫力)⇨肺炎になる
侵襲(誤嚥物の量・性質)<抵抗(呼吸・喀出力、免疫力)⇨肺炎にならない
と、侵襲と抵抗のバランスで決まります。
じゃあ、この抵抗を強くしようということで、私がやっていることというと…
①出来る限り、身体を起こしてもらう(不可なら完全側臥位まで)
②シルベスター法・・・上肢の上げ下げに合わせて深呼吸する(上げるときに吸って、下げるときに吐く)
③巻き笛(ブローイング)
④口腔ケア
⑤頚部ストレッチ
以上、改めて書き出すとそんなものですね。
①は、いわゆる離床で、離床のメリットはここでは書ききれませんが、特に肺炎予防の観点からは背側の圧迫を抜いて、特に下葉の肺胞の虚脱を防ぐのが大切だと思います。
②と③は、簡単な呼吸リハです。
②では、口すぼめ呼吸も合わせて指導しますし、③の『巻き笛』を使ったブローイングでは、回数や持続時間を色々調整しながらやれて、ハフィングに似た効果もあるのかなと思っています。
④は言うまでもなく、⑤は特に頚部拘縮の可能性のある方が対象となります。
他にも、降圧剤をACE阻害薬に変えられないかDr.に相談する(副作用で咳が出るため)とか、肺炎球菌やインフルエンザなどのワクチン接種が免疫を上げるのに有効と言われています。
いずれにしても、意識すればプラスαですぐにでも取り組めるものばかりかと思います。