SLTAプロフィールから読み解く重症度の目安

失語症者とのコミュニケーションにおいて、検査上での(純粋な)言語能力と日常場面での言語能力が異なって感じることはよくあることだと思います。

 

日常のコミュニケーション場面では、バーバル(言語的)な側面だけでなく、ノンバーバル(非言語的)な側面も利用される為、理解・表出共に意思疎通性が高まるからだと考えられます。

 

ノンバーバルな側面とは、表情や身振り手振り、視線や声のトーン、その場で共有している状況や場面にそった推測などのことです。

 

そんな検査上と日常場面での乖離が生じやすいコミュニケーションのなかで、その人の純粋な言語理解・表出能力を客観的に捉えるために「SLTAプロフィールから読み解く重症度の目安」を今回はご紹介したいと思います。

 

では、聴理解、発話、読解についてそれぞれ目安を示していきます。なお、書字に関しては、日常コミュニケーションではほとんどメールでの文字入力に置き換わっているため、割愛します。

※以下のパーセンテージ(%)は、SLTAにおける正答率(段階6・5の割合)です。

 

①聴理解

【最重度】…単語50%以下

【重度】…単語100%以下

【中等度】…短文80%以上、口頭命令40%程度

【軽度】…口頭命令70%以上

 

障害が重度の場合、日常会話の理解は困難であり、多くは状況判断が主体となっています。

 

中等度では、日常会話でも誤って理解することが多く、コミュニケーション範囲にも制限があります。

 

中〜軽度の場合は、日常会話の理解はほぼ可能ですが、複雑な事柄やニュースの理解は部分的であり、誤って理解していることも多くなります。

 

軽度では、日常会話において聴理解で困ることはほとんど認めませんが、早口の語りや込み入った内容のニュースでは細部を誤って理解していることもあります。

 

②発話

【重度】…呼称・動作説明・語想起20%以下

【中等度】…呼称・動作説明50%程度、語想起30%程度

【重度】…呼称・動作説明80%以上、語想起60%以上

 

障害が重度の場合、発話可能な単語は限局され、発話での意思疎通はかなり困難となります。

 

中等度では、ごく簡単な日常会話はどうにか可能ですが、喚語こんなんのため伝達が成功しないことも多くなります。

特に呼称や動作説明が良好であっても語想起が不良な場合は、日常会話において喚語困難が強く認められます。

 

障害が経度であれば、日常会話は可能ですが、説明など文章レベルの発話では障害を認めることもあります。

 

 

③読解

【重度】…単語80%以下、短文0%

【中等度】…短文80%以上、書字命令30%程度

【軽度】…書字命令70%以上

 

障害が重度及び中等度レベルの場合は、新聞や雑誌などの内容理解は極めて困難となります。

 

軽度では、新聞において短い記事であれば理解もほぼ可能ですが、長めの文章では誤って理解することもあります。

 

以上、今回は、「SLTAプロフィールから読み解く重症度の目安」をご紹介し、障害レベルごとの日常場面での表れ方をお伝えしました。

 

失語症患者さんのリハビリ・支援に少しでもお役に立てれば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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