WAIS-Ⅲにおける知能とは何か?
急性期に移ってからは、WAIS-Ⅲ(成人知能検査)を実施する機会がめっきり減りましたが、回復期ではよく実施していました。
先日、職場でWAIS-Ⅲの話題になったので今回はその関連で『知能』について書こうと思います。
まず、そもそも『知能とは何か?』ってことですが、このWAIS-Ⅲを作ったWechslerによると…
知能とは、
『目的的に行動し、合理的に思考し、効率的に環境を処理する個人の総体的能力』
とのことです。
なんとなくわかるような、よくわからないような…そんな感じです。
それで、このWAIS-Ⅲは言語性知能(言語性IQ)と動作性知能(動作性IQ)を算出できるのですが…
言語性知能とは、
『一般的常識や判断力、理解力など、過去に習得した知識や経験をもとにして日常生活の状況に対応する能力』
だそうです。
対して、
動作性知能とは、
『新しいものを学習したり覚えたりするような、経験の影響を受けることが少ない、新しい行動様式を身につける能力』
とのことです。
このことから、脳卒中で片麻痺になった患者さんでリハビリが進みやすいのは、動作性知能の保たれてる(高い)方だなとか、認知症があっても言語性知能が保たれている方だと慣れた自分の家(環境)なら生活出来るのかなとか、想像出来ますね。
仕事においても『この人は頭が切れるな』『頭が柔らかいな』と感じさせる人、いわゆる〝デキる人″は、今までにない新しい局面やイレギュラーな場面で柔軟な対応ができるイメージがあるので、動作性知能が高い方が多いのではないでしょうか。
言語性知能は歳をとっても保たれやすくて、動作性知能は衰えやすいと言われていますが、歳をとると豊富な経験と蓄積された知識から熟練はされるけど、新しい変化への対応は弱くなるのかもしれませんね。
(言語性知能は結晶性知能、動作性知能は流動性知能とも呼ばれます。)