はじめから信頼を得る介入のポイント~ユマニチュードの活用~
今回は、私の経験上、介入開始から信頼関係を築いていくために必要だと思うことをユマニチュードを交えながらご紹介します。
まず、介入に当たっての5つのポイントを下記に挙げます。
1.挨拶と自己紹介・・・「こんにちは!はじめまして。リハビリの○○です。」「今日から、○○さんの担当させてもらいますね。よろしくお願います。」など。
2.いたわりの声掛け・・・「体調はどうですか?」「痛いところはないですか?」「喉乾いてませんか?」「昨日はよく眠れましたか?」「大変でしたね」など。
3.今からすることを簡潔に丁寧に伝える。
4.服や身体の位置を整える。
5.手で身体を掴まない・・・特に手(手首)や足(足首)を掴まない、手を下から添えて動かす・誘導する。
以上の5つです。
ここで、フランス発祥の介護理論・技術であるユマニチュードをみていきます。
ユマニチュードには4つの柱がありまして、それは下記の4つとなります。
①見る・・・水平に見る、正面から見る、近くから見る。
②触れる・・・感度が低い部位から触れる、広い面積で触れる、ゆっくり優しく触れる。
③話す・・・優しく穏やかに話かける、ケアの内容を実況する。
④立つ・・・1日20分立つ時間をつくる。
①の見るは、コミュニケーションにおいて視線を合わせることの重要性を改めて説いていますね。
「近くから見る」となっていますが、客観的に見て、近づき過ぎていないか考えることは必要ですね。
私は、眉間を開いて、優しい眼差しを向けることを意識しています。
②の触れるは、私自身の経験からも信頼関係を得るために非常に有効だと感じています。
身体を決して掴まず、下から手を添えて介助しているとそれだけで優しさや安心感を伝えられていることが、患者さんの表情や言動からわかります。
また、リハビリ終了時に肩の横(三角筋)に優しく触れながら「お疲れさまでした。また、来ますね。」と伝えると患者さんの嬉しそうな表情や安らかな表情を見ることができます。
スキンシップによって、お互いの心がほどける瞬間でもあります。
③話すの内容もはじめに記載した5つのポイントの1~3に当てはまりますね。
ケア動作の前に簡潔にすることをちょっと伝えるだけで、余計な抵抗を生まずスムーズに協力が得られます。
耳が遠い方には、両手でメガホン型をつくって相手の耳に当てて話すとよく聞こえることが多いです。
ちょうど、クイズ番組などで周りの回答者には聞こえないように出題者にだけ回答する時のようにです。
これなら決して大声で話さずとも、普通の声かやや大きめくらいの声で十分通じます。
➃の立つは、患者さんの介助度によってどうしても差があるとは思いますが、リハビリにおいても非常に重要な『離床を促す』という考え方と共通しています。
椅子や車椅子に座る、もしくは、ベッド(上体)を起こすといったことだけでも段階的離床の第一歩となり得ますね。
以上のように、私の経験上、介入開始から信頼関係を築いていくために必要だと思うポイントとユマニチュードの考え方はリンクしていて、すべての対人援助の仕事に活用できると思います。