声帯麻痺の〝仮声帯発声にならない″発声方法
声帯麻痺がある場合に、プッシング法(プリング法)はよく使われると思います。
しかし、これは仮声帯の過内転を引き起こしやすく、いわゆる仮声帯発声にならないよう注意が必要です。
そこで、今回は、仮声帯発声を防ぎつつ、声門の強い閉鎖を促す発声方法を書きたいと思います。
その方法は、
①まず「んーー」とハミングをしてもらう
(ここでは、無声音もしくは重度の気息性嗄声でもOK)
②「んーっん!」とハミングから咳払いをする感じで、いきんだ発声をしてもらう
③いきんだ発声で有声音が出れば、それを「っんーー!」と少しずつ伸ばしていく
とこんな感じです。
ハミングにより声門の上部空間(仮声帯含め)を拡げ、その状態でプッシング的な硬起声を促すため、声帯だけに力を入れることが可能となっております。
ハミング発声時は、声門の上部腔が拡がるのがポイントとなります。
ある程度、有声音が出る人ならハミングから発声に繋げる「んーーーおーー!」なんかも粗ぞう性嗄声を防ぎ、キレイな声質での持続発声を促すのによいと思いますし、私はよく使います。
ちなみに、プッシング法は次第にその動作をなくしていって、硬起声発声にシフトしていく必要がありますが、その時「オーー!」と発声するのは、「アーー!」と発声するより、自然な感じで発声しやすいと思っています。
なぜなら、遠くの人を大きな声で呼ぶ時、「オーーイ!」と叫ぶのは通常あり得るからです。
「アーー!」と叫ぶことは通常ないので、人前で大きな声で「アーー!」と叫ぶのは心理的に抵抗があるように思います。
「オーーイ!」を2回、3回…と連続して発声するのも素早い吸気と硬起声発声の協調運動になって、会話に般化させる過程の訓練として、おすすめです。