摂食・嚥下リハビリテ―ションにおける些細だけど、確かな差
摂食・嚥下リハビリテ―ションの臨床では、本当に些細な違いなのに明らかな差があることに気付きます。
例えば、同じ頚部前屈位でもギャッジアップ60度だとムセるのにギャッジアップ30度だと全くムセなくなるとか。
頚部の支持性が乏しい人に枕とタオルで最適な頚部前屈位を調節するとタオル一枚の違いでも異常な嚥下音の増強が消失して、ムセが軽減するとか。
姿勢一つでこんなに差がつくのかと不思議ですね。
他にも、例えば…
家人見学の直接訓練で、患者さんは口を開けて次の一口を待ってるけれど、喉の動きがないことで嚥下していないことを伝えることで、実際、ムセが軽減されて、嚥下反射の遅延と介助の際のペーシングの大切さをよくわかってもらえたり。
食べ物の苦みを訴えて拒食傾向だった患者さんの舌苔を除去することで、食べられるようになったり。
舌苔(デンタルプラーク)は酸を産生して、食べ物を苦くしたり、すっぱくしてまずく感じさせるようです。
それでなくても加齢に伴って味覚閾値は高くなりますからね。
ちょっとした姿勢の違いや介助のタイミング、舌ブラシを使った口腔ケアで安全に美味しく食べられることもありますね。
実習生も一緒にそういった違いを目の当たりにすると軽い驚きと共にとても印象に残るみたいですね。
『百聞は一見にしかず』じゃないですけど、やはり実際の変化を目の当たりにすると小さなことが意外と大きいんだなってことが納得できますよね。
そんな訳で、小さく思えることを疎かにせず、万全を期すことがよい結果に繋がるのだと思います。