うがいの可否を判定する安全なスクリーニングテスト
今回は、嚥下障害(水分誤嚥)のある患者さんにうがい(含嗽)が可能かどうかの安全なスクリーニングテストをお伝えします。
たまにナースやヘルパーさんから「この人、うがいできそうですか?」と不意に聞かれて返事に困ることはないですか?
また、本当はうがいができる能力があるのにその可否を評価できていないが故に口腔ケア時にガーゼやスポンジブラシでの清拭で終わってしまっている患者さんは結構いるのではないでしょうか。
口腔ケアにおいて、ガーゼでの清拭で終わるより含嗽で終わった方がサッパリ感や潤い感が違いますし、なにより患者さん本人の気持ちよさも格段に上だと思います。
という訳で(前置きが長くなりましたが…)、そのスクリーニング法というのをお伝えします!
それは、『頬膨らまし』がしっかり(5秒以上)できるかどうかをみる、ただそれだけです。
『頬膨らまし』とは、文字通り、空気を口の中に溜め込んでほほをふくらます、ことです。
この頬の膨らましをみることによって下記の3つのことがわかります。
①口唇をしっかり閉めること(十分な口唇閉鎖)が可能か。
②空気を口腔内に溜めることが可能か。つまり、水を含んだ時にも奥舌と軟口蓋による閉鎖で咽頭流入を防ぐことが可能か。
③指示に従える認知機能は保たれているか。
この3つの機能が保たれていると判断されれば、水分を誤嚥する患者さんにも含嗽を積極的に取り入れることが可能だと思います。
ただ一つ、しっかり(5秒以上)とできているかは必ず確認して下さい。
5秒未満で萎んでしまう膨らましではダメです!
それは、奥舌と軟口蓋の閉鎖で口腔内に空気を保持してるのではなく、呼気を持続することで成り立っている頬膨らましの場合があるからです。
更に言うと、頬を膨らましたまま、鼻呼吸できれば理想的です(当然、健常者は出来ます)。
もちろん、このスクリーニングをクリアした後に実際にうがいをしてもらい実地評価すれば完璧ですが、水飲みテストの前に改定水飲みテスト(MWST)を行うように誤嚥リスクを抑えるスクリーニングテストとして有効ではないかと思います。