摂食・嚥下リハビリテ―ションのゴール設定
摂食・嚥下リハビリテ―ションにおいては、ゴール設定というのが非常に大事だと思います。
(※ここでいうゴールとは、長期目標のことで、病院に勤める私の場合は概ね1カ月後を短期目標、3カ月後を長期目標として捉えています。)
ゴールをその人のポテンシャルを超えたところに設定すると誤嚥による様々な弊害(熱発、呼吸状態悪化、食思低下、脱水など)を及ぼし、場合によっては誤嚥性肺炎の発症とリハビリ介入がマイナスに働いてしまうこともあります。
かといって、ポテンシャル未満のゴール設定では、QOLを下げる結果となったり、廃用症候群や低栄養に伴うサルコペニアによる嚥下障害の増悪を招き、その人の本来持っていたポテンシャルを引き出せないまま、設定された下位のゴールレベルに下がってしまうということになりかねません。
(※ここでいうポテンシャルとは、その人の摂食嚥下能力を最大限引き出せた状態のことを指しています。)
そこで、的確なゴール設定が出来るかが、そのセラピストの腕の見せ所だと思う訳ですが、その為には、的確な情報収集と評価が必要だと思います。
情報収集は主に入院するまでの摂食・嚥下レベル(食事摂取の状態)、また、これまでの経過までわかれば完璧で、あとは転帰先の環境を情報収集し、その時点で到達したい理想のゴールを想定します。
次に実際の患者さんの摂食・嚥下能力を評価して理想のゴールとその人のポテンシャルを擦り合わせていきます。
そして、患者さんや家族さんの意向、主治医や病棟の意向も含めトータルで勘案していくことで、独善的なゴール設定ではなく、関係者全員の共通認識として現実的なゴール設定ができると思います。
これには経験も必要かと思いますが、やはり、評価の基準を明確に持っていると判断場面で強いのではないでしょうか。
明確な評価の基準を自分なりに作って、日々の臨床での結果をフィードバックしながら修正改善させていくことが、よりよい介入の礎に繋がっていくものと考えます。