経口摂取は自発性の最後の砦
食べることへの意欲は簡単に失うこともありますが、逆にとことん執着することもありますね。
人間の三大欲求(睡眠欲、食欲、性欲)の内の一つなので、その人間を突き動かす力はやはりすごいのでしょう。
寝たきりで、ほぼ発語もなく、寝返りも自分一人では出来ないような方でも食事の時はなんとか自力で食べられたり、部分介助は必要でも食べようとする自発的な行為がみられることは度々あります。
また、たとえ食事が全介助であっても食べたり飲んだりという行為は、自発的な(能動的な)行為である訳です。
場合によっては、口に食べ物を運ばれるからほぼ反射的に口を開けて食べているという場合もあるかもしれませんが…基本的には食べようという意思が働いているものと思います。
そう考えると経口摂取を維持していくことは、全介助レベルの人にとって最後の自発性の砦のような気がします。
そのなかでも特に会話ができない、発語がない方にとってはまさに最後の砦になると思います。
ADLが全介助の方だと経口摂取が中止してしまうと一日中ほぼ他人になされるがままの状態になって過ごすことになりかねません。
食べるや飲むといった経口摂取を維持していく、少しでも残していくということは、そういった側面からも重要だと思いますし、見逃してははいけないことだと思います。