胃瘻造設にあたってSTとして個人的に思うこと(胃瘻造設の判断基準)

経口摂取が長期に困難と思われる場合、栄養確保の方法として胃瘻が選択肢の一つになるかと思います。

 

しかし、胃瘻は延命措置のイメージが強く、拒絶反応を示される方もいらっしゃいますね。
(いや、むしろ多数派でしょうか?)

 

胃瘻をするかしないかの判断は、本人や家族の価値観、死生観みたいなものが大きく関わると思います。

 

今回は一人のSTとして個人的に今、胃瘻について思っていることを書いてみます。

 

 

まず、私自身が胃瘻するかどうかの判断を迫られた場合を考えると…

 

それは、正直、その時になってみないとわからないですね…

 

やっぱり自分のこととなると冷静さを失うというか、普段考えている思考や死生観をそのまま受け入れられるか疑問です。

 

では、自分の大切な人、例えば両親の場合、その時に意識障害や認知症により当人の意思を確認出来ない状態ならどうでしょうか?

 

これも最後はその時の状況の総合的な判断によるでしょうが、まず、やっておきたいのが今の元気な内に本人の意思を確認することですね。

 

それで「どんなことがあってもそれは絶対しないでくれ」となれば、それはその意思を尊重すると思います。

 

でも、「あなたorお医者さんに任せる」なら、下記の条件に一つでも当てはまれば胃瘻を前向きに考えます。

 

それは…

①摂食嚥下機能に回復の見込みがある

②摂食嚥下機能に回復の見込みは乏しいが、身体機能が寝たきりレベルではない

③摂食嚥下機能が唾液誤嚥レベルでない

です。

 

胃瘻造設の前向き検討度は①>②>③ですね。

 

①は、CVA(脳梗塞、脳出血等)後の急性期や回復期、もしくは咽頭感覚(嚥下反射)は比較的保たれてるが、低栄養や廃用による咽頭クリアランス能の低下により食べられないと判断した場合です。

 

②はつまり、食べること以外に何か人生の楽しみがあると思われる場合ですね。

 

③は、前向き度は相対的に最も低くなりますが、少なくとも絶飲食の状態なら、唾液誤嚥もほとんどなく、安定した呼吸状態を維持出来る場合ですね。

 

逆に言うと嚥下機能が唾液誤嚥レベルであれば、胃瘻の造設はしないと思います。

 

唾液誤嚥があるようだと結果として胃瘻が延命に繋がることはほぼないと考えますし、むしろ手術による侵襲、重度な下痢や便秘、胃食道逆流のリスクなどマイナス面が目につくからです。

 

 

もちろん、胃瘻造設にあたっては、腸管が安全に使えるかが大前提になりますが、その上で、今、個人的に思うことを思いつくまま書いてみました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です