気管カニューレ離脱のプロセスPart2:摂食訓練編
今回は、Part1の音声訓練編に引き続き、Part2の摂食訓練編についてお伝えしていきます。
※Part1はこちら→『気管カニューレ離脱のプロセスPart1:音声訓練編』
Part1音声訓練編の呼吸訓練を行い、発熱やSPO2の低下、気道内分泌物の増加がなく全身状態が安定していれば、並行して摂食訓練を実施します。
摂食訓練は以下のステップで進めていきます。
【ステップ1】
まずは、トロミ付き冷水(濃度0.5〜1.0%)2ml程度を数口摂取してもらい、意識的に嚥下を誘導します。
【ステップ2】
3日程度継続し、バイタルサインや気道内分泌物の増加がなければ、スクリーニング評価を行います。
スクリーニング評価では、着色水テスト(エバンスブルーダイテスト)とフードテスト、可能であればVEやVF検査を行います。
着色水テストは、食用色素(青)で着色した水を使用し、嚥下反射の30秒後にカフ上およびカニューレ孔から吸引を行い、その色素の混入が認められているかどうかで誤嚥の有無を判定します。
この時、はじめからトロミなしの水分を使用せず、トロミ水2ml程度から段階的にみていきます。
例えば、トロミ水2ml→トロミ水5ml→トロミなし冷水2ml→トロミなし冷水5ml…といった感じです。
また、スクリーニング評価では着色水テストだけでなく、ゼリーでのフードテストも併せて行います。
ゼリーは安全性が高く色素の混入が確認しやすいもの(当院では、エンゲリードのグレープ味を使用)を用います。
【ステップ3】
着色水テストで誤嚥があっても、ゼリーで誤嚥がなければ、ゼリーでの摂食訓練から開始していきます。
ここで、どちらも誤嚥がある場合は、間接訓練のみを行い、適宜、再評価を行うこととなります。
【ステップ4】
その後は、基準に則って段階的摂食訓練を進め、摂取量や食形態をステップアップしていき、設定したゴールを目指します。
※基準について詳しくは別記事『段階的摂食訓練のステップアップ基準』をご参照ください。
以上、気管カニューレ離脱のプロセスをPart1の音声訓練編と今回のPart2摂食訓練編の2回に渡ってお伝えしてきました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!