失語症における「流暢」「非流暢」の判別方法

今回は、失語症において、その発話が「流暢」か、「非流暢」かを判別する3つのポイントをお伝えしていきます。

 

流暢性は、失語症の発話特徴を表す重要な概念であり、また、失語症のタイプ分類の重要な基準でもありますね。

 

では、早速3つのポイントをお伝えしていきます。

 

 

 

ポイント1.発語失行の有無

 

1つ目のポイントは発語失行があるかないかです。

 

発語失行があれば、その時点で「非流暢」となります。

この時、発話失行の程度は関係ありません。

ごく軽度の発話失行であっても「非流暢」に分類します。

 

発話失行に関してはまた別記事で詳しくお伝えしますが、ここでは主に①構音の異常(歪み)、②努力性の発話、③プロソディ(メロディ)の異常、の3つに着目してください。

 

 

 

ポイント2.発話単位の長さ

 

2つ目のポイントは発話単位が長いか短いかです。

 

発話単位が短いは非流暢、長い(正常)は流暢となります。

 

具体的に、発話単位が短いとは1〜2語、発話単位が長い(正常)とは5〜8語を基準にすればよいと思います。

※Bensonの流動性評価,1996より

 

 

 

ポイント3.発話量

 

3つ目は、発話量が少ないか多い(正常)かです。

 

発話量が少ないは非流暢、多い(正常)は流暢となります。

 

具体的に、発話量が少ないとは50語/分以下、発話量が多い(正常)とは100〜200語/分を基準とすればよいと思います。

※Bensonの流動性評価,1996より

 

 

流暢性失語である

1.ウェルニッケ失語

2.超皮質性感覚失語

3.伝導失語

4.失名詞失語

これらはいずれも①発語失行はなく、②発話単位の短さや、③発話量の低下も認められません。

 

伝導失語は、音韻性錯語とその接近行為(音韻性錯語を修正して目標音に近づこうとする言い直し)のためスムーズに話せないことがあります。

そのため、一般的な感覚としては「非流暢」な印象がありますが、上記3つのポイントに基づいて判別すれば「流暢」に分類されるのです。

 

 

非流暢性失語である

1.全失語

2.ブローカ失語

3.超皮質性運動失語

4.超皮質性混合失語

これらの失語症は、①発語失行、②発話単位の短さ、③発話量の低下の全て、あるいはいずれかが認められます。

 

このように上記3つのポイントを抑えれば、失語症における流暢性を明確に判別していけると思います。

 

 

以上、今回は失語症における発話が「流暢」か「非流暢」かの判別方法についてお伝えしました。

今回も最後まで、お読みいただきありがとうございました!

 

【参考文献】

失語症言語治療の基礎 診断法から治療理論まで

紺野加奈江 著

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